バイリンガルの思考力は高い?低い?バイリンガルの思考力についてはこちらにまとめて掲載しています。
バイリンガルでひとくくりにはできない
バイリンガルだからといって必ずしも思考力が低い、高いわけではありません。バイリンガルと一言では説明できないほど2か国語を話す人の思考力は様々です。ですが、2か国語を話す人によく見られがちな思考力に与える影響や環境がありその点が思考力に影響している可能性があります。英語と日本語のバイリンガルだという前提で例をみてみます。
- 英語、日本語のバイリンガルで思考力が高い(思考力が高い)
- 日本語での思考力があるが、英語ではうまく考えを伝えられない(英語では思考力が低く見える)
- 英語での思考力があるが、日本語ではうまく考えを伝えられない(日本語では思考力が低く見える)
- 英語、日本語とも年相応の思考力がない(思考力が低い)
バイリンガルの場合、片方の言語では高度な思考と表現が出来ないという場合もあり、その場合は実際には思考力が高くても、思考力が低く見えるということがあります。
バイリンガルで思考力が高い場合
高度なバイリンガルの場合は2か国語の情報にアクセスすることができるので、1か国語を話すモノリンガルより、多くの情報にアクセスすることが出来ます。同じニュースであっても国や言語によって伝え方が違ったり、そもそも取り扱う内容や情報が違ったりするため多角面から物事を見る事をしやすくなります。
また、2つ位以上の言語を操り、2つ以上の文化に触れる事ができやすいので「比較」が可能になります。日本では当たり前なことも海外では当たり前ではない習慣が多くあります。その際違いを知っているバイリンガルは日本の当たり前を当たり前と受け取らず、なるほどこのような習慣や常識がある国もあるのかなど外から物をみたり考えるようになりがちです。この辺の分析力や思考力はバイリンガルの方が高くなりやすいといえるでしょう。
また、バイリンガルで海外の学校やインターナショナルスクールに通っていた場合は日本の学校より考え自分の意見を求められる場面に多く遭遇しがちです。自分の主張をするのが当然という環境で育った場合、思考力は高くなりがちですがこれはバイリンガルだから思考力が高くなるというより、育った環境より思考力が高くなったという背景の方が強いでしょう。
バイリンガルで思考力が低い場合
先に書いたようにバイリンガルだから思考力が低いという事は必ずしも言えませんが、言語の発達が遅れ思考力が低くなる場合があります。バイリンガルで思考力が低いならセミリンガル、ダブルリミテッドの可能性もあります。バイリンガル、つまり2言語を話し理解できるから必ず思考力が低下するわけではありません。ただ、バイリンガル子育ての中でよく言われる
- セミリンガル
- ダブルリミテッド
により思考力が低い場合があります。
セミリンガルやダブルリミテッドはどの言語でも年齢程度の思考力がない状態です。そのため、年相応の情報にアクセスすることができず、意見を言えず、そのため他の人より思考力が低く見えます。バイリンガルだから必ずセミリンガルになるわけではありませんが、どの言語も年相応に出来ないのは、バイリンガル教育の弊害の一面です。バイリンガル教育はセミリンガルと紙一重ともいわれています。その子の第一言語を年齢相応にまで上げることで、思考力も高くなる可能性があります。
バイリンガルで思考力が低く見える場合
どちらか一方の言語でも思考力が確立されていれば「バイリンガルだから思考力が低い」とはなりません。ただ、どちらか一方の言語が強い場合で、もう片方の言語で意見を求められる場合、思考力はあっても言語力が足りないことで表現が幼稚になったり、簡単になるため思考力が低く見える場合があります。
- 日本語での思考力があるが、英語ではうまく考えを伝えられない。
⇒日本語では思考力が高く見えるが、英語では思考力が低く見える。
- 英語での思考力があるが、日本語ではうまく考えを伝えられない。
⇒英語では思考力が高く見えるが、日本語では思考力が低く見える。
この場合は、思考力というより言語力の問題で、思考力が低く見えることになります。
バイリンガルだから思考力が高くなる、低くなると一概には言えません。特にバイリンガルで思考力が低いと感じる場合、セミリンガルの状態の可能性があります。言語力の問題で考えられるもの思考力が低く見えるだけなのか、そもそも考える事すらできないのかは大きく異なります。バイリンガルだから……というよりは、各々の言語能力や状況により「思考力が低く見える」場合もあることは、モノリンガルとは大きな違いです。